ソロプロジェクト「Spileben」とは? 表現に明け暮れた高校時代から自撮りが苦手な素顔まで!/声優・大熊和奏さんインタビュー
2021年に声優デビューすると、『ラブライブ!スーパースター!!』の若菜四季役を担当、作品内のスクールアイドルグループ・Liella!の2期生として活躍、またたく間に人気声優となった大熊和奏さん。昨年8月からは、キュートでヘルシーなイメージを一新したソロプロジェクト「Spileben(シュピレーベン)」としても活動中だ。これまで詳しく語ることのなかった学生時代のこと、そしてソロプロジェクトの全貌についてあますことなく話してくれた。
母親の助言で舞台芸術を学ぶ高校に進学
ーー2021年から声優としての活動を始めてますが、学生時代から音楽やダンスをやっていたんですか?
大熊和奏(以下、大熊) はい、ダンスは幼稚園のころから習っていました。
ーーとても早い時期から始めたんですね。
大熊 5歳からジャズダンスを始めました。たまたま習っていた先生がジャズ専門で、やっていくうちに「じゃあジャズダンスを本格的にやってみようか」と、J-popの音源を使った創作ダンスをやっていました。先生が嵐好きで、嵐の曲で踊ることが多かったです。
ーーそのままずっとダンスを続けていたんですか?
大熊 小学生のときに先生が講師を離れたのでブランクはありましたが、中学以降、再開しました。そのころはモダンダンスやコンテンポラリーダンスですね。高校時代は必須科目にクラシックバレエが入り、勉強させていただきました。
ーー芸術系の学校だったんですね。
大熊 そうなんです。高校生の時点で「声優になりたい」という気持ちがあって、公立なんですけどそういう高校を選びました。舞台の基礎から学べて、裏方も学べるんです。音響や照明も、全部触れるんです。
ーーそんなに本格的に学べる公立があるんですか。
大熊 舞台芸術の授業もあって、生徒たちでいちから全部やるんですよ。
@spileben KENPROCK Festival 2024 皆様、ライブいかがでしたか? #spileben #序章 #kenprock #ライブ直前 #舞台裏#gogospileben ♬ オリジナル楽曲 – spileben
ーーその時点で、表に出る仕事ではなく声優になりたいと思ったのはなぜでしょう。
大熊 小学生のときは男勝りな性格で、可愛らしい女の子でいることが苦手だったんです。それで高学年になって『HUNTER×HUNTER』を観て、ゴンとキルアを女性声優さんが演じているじゃないですか。「すごい! かっこいい!」と思い、すごく惹かれてしまったんです。そこから声優に興味を持ち始めました。
当時から母には「声優になりたい」と言っていて、養成所に通うという選択肢もあったと思いますが、母が「いまはまだ、ひとつの養成所に染まらないほうがいい。それなら、先に舞台やお芝居の基礎を学んだほうがいい」という考え方で、「養成所や専門学校に行くなら、そのあとでもいい」とのちに通うことになる高校を探してくれたんです。
ーーすごく視野の広いお母様ですね。高校で舞台やお芝居のことを広く学んでからも「声優になりたい」という思いは変わらず?
大熊 はい。3年間いろいろな経験をさせてもらったうえで気持ちは変わりませんでした。やっぱり、表に出ないことに魅力を感じたんです。いまの私の立場で言うのもアレなんですが(笑)、いろいろな現場に行って声を当てて、きっちり仕事をして颯爽と帰っていく……という職人技といいますか、顔は出ずに声とそのキャラクターだけが生きている「声優」という職業にすごく惹かれたんです。あと、最後にクレジットが出ることにすごく憧れてしまって(笑)。「自分もここに載るのか~」なんて妄想していました(笑)。
ーーとても子供らしくていいですね!
大熊 はい(笑)。それで高3のときに養成所のオーディションを受け始め、そのままいまの事務所に所属することになりました。
声優からアーティストへ「理想は媚びない女性」
ーー今年8月30日にソロプロジェクト「Spileben(シュピレーベン)」としてアーティスト活動することを発表しました。メインビジュアルは、黒を貴重とした衣装にクールな表情で、“かっこいい女性”ですよね。
大熊 私自身、かっこいい女性アーティストや韓国の男性アイドルグループに憧れていたので、そういう方向性に定まっていきました。
ーー今回、作詞や作曲にもチャレンジしましたか?
大熊 今回はお任せしました。最初は作詞をチャレンジしようという話はいただいていましたが、まだまだ幼いし拙いし、人様に伝えられる表現ができないなと実感しまして。今後、このソロプロジェクトを通していろいろな経験をさせていただいた上で、改めて作詞や作曲に挑戦したいと思っています!
でも今回、10月30日に配信と、11月2日にCDでリリースした1stEP『序章』の5曲目「ストロベリータイム」は、作詞をしてくださったナカムラヒロシさんと直接、自分の過去の経験や好きなものとかの話をさせていただいて、私自身から出た言葉を大切に書き留めていただき、この歌詞を創っていただきました。
ーー歌詞のどの部分にグッときましたか?
大熊 サビの<たとえ迷っても たとえ悩んでも ひとつだけのストーリー>ということろです。人生は一度きりしかない、結局は自分で決めなくちゃいけない、だから迷うより先に進もう、というメッセージが込められているようで感動しました。
ーー大熊さんのこれまでの経験とリンクしているような楽曲ですね。かっこよさを全面に出した楽曲が主な中で、特に2曲目は“かっこいい女性像”が際立っているように思います。
大熊 そうですね。私が理想としている“媚びない女性像”が反映されています。
ーー媚びない女性、たしかに大熊さんっぽいですね。
大熊 そうですね(笑)。母もそういうのが好きじゃないので、教えが根付いているのかなと思いますね。
ーーお母さま、お話を聞いているととても主体的に思います。
大熊 そうですね。たとえば地域の母親たちで集まる雰囲気があっても、母は「うちはうち、よそはよそ」というスタンスを貫いていて、私も「自分の気持ちに正直に生きていきなさい」と言われてきました。
ーー小学生にグループ行動が苦手だったのも、そんな影響ですか?
大熊 そうですね。私も相手も、それが“いじめ”だと理解していないようなことが私自身に降りかかったことがありましたが、そういうことがあっても「自分のことは自分が守るしかない」と思えたのは母の教えがあったからだし、「母が味方でいてくれるから、友達は多くなくてもいいや」とも思えたんです。
自撮りが苦手すぎてファーストテイクで投稿!?
ーー子どもにそう思われる母親、立派すぎます。そんなふうに、同調圧力に迎合しない女性像が反映されているんですね。女性ファンが増えそうです。
大熊 それを狙っています(笑)。
ーーSNSを見ると、4曲目「空っぽだから」への言及が多いように思います。「歌詞が刺さる」「表現力が神」など好評ですね。
大熊 そうですね、結構人気なんですよ。挫折がテーマの楽曲なんですが、私は「心が折れた……」と感じるような人生最大の挫折をまだ経験したことがなくて。だからこそ、自分がそういう経験をしたときに救われる楽曲だろうなと、未来の自分に贈るように歌いました。
ーー大熊さんの推し曲はありますか?
大熊 もちろんそれぞれ魅力的で大好きですが、中でも「ストロベリータイム」が大好きで、デモを聞いた瞬間に脳が喜んだんですよ!
ーー脳が!
大熊 はい(笑)、世界が広がったというか、聞いた瞬間、すっごく嬉しくなりました。だから早くみなさんの前で一緒に歌いたいなあと思っています!
ーーそもそもソロプロジェクトを告知したとき、ファンの皆さんの脳が喜んだのではないかと思います。公式TikTokに投稿しているティーザー、とてもかっこいいですよね
大熊 みなさんにそう言っていただけてうれしいです! 私はSNSが苦手で、Spilebenをスタートしたと同時にTikTokを開設したんです。というのも、Spilebenは私の個人の名前ではなく私の活動を支えてくださるスタッフのみなさまも込みの名前、というかチーム名だと思っていまして。だからこそTikTokができています(笑)。
スタッフ いままでライブ配信を2回行わせて頂きましたが、とても反応がいいですね。「SNS、待っていました!」という声もとても多いんです。
大熊 たくさんの方に見ていただけるのは、怖くもありますけどね(笑)。なにが燃えてなにが大丈夫なのかとか、無意識に誰かを傷つけるようなことを言っていたら申し訳ないなとか、そういうことをずっと考えてしまうのでSNSは苦手なんです。
ーーもしかして自撮りも苦手ですか?
大熊 苦手です!
スタッフ でもすごく上手いんですよ。たとえばこれは、一発撮りなんですよ。
@spileben Spileben「 I 」 シュピの秘密基地Ⅱ by Spileben #spileben #序章 #I ♬ I – Spileben
ーーえー! みなさん、何十回撮り直すんじゃないですか!?
スタッフ 「この場所ならここがいいかも」と言ってさっと行ってサラッと撮って、帰ってくるんです。それでこの完成度ですからね。言葉の使い方にリリカルな要素もあるから、今後はTikTokでそういった表現もやっていきたいですね。
大熊 活動を始めたからには、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいと思います! 応援してくださる方や私の周りにいる人たちが笑顔になってくれることがなによりで、一番の目標は、みなさんに幸せになってもらいたい! です!
■プロフィール
おおくま・わかな
4月13日生まれ、埼玉県出身。2001年声優デビュー。『ラブライブ!スーパースター!!』の若菜四季役を担当。作品内のスクールアイドルグループ・Liella!の2期生として活動している。2024年10月より本格的にアーティスト活動をスタートし、ソロプロジェクト「Spileben」で11月2日に1stEP「序章」をリリース。11月2日、3日開催の「KENPROCK FESTIVAL 2024」@LINE CUBE SHIBUYAで初披露した。
@spileben KENPROCK Festival 2024 Spileben Opening Movie🎥 #spileben #序章 #kenprock2024 #opening ♬ オリジナル楽曲 – spileben
※動画はSpileben公式TikTok『@spileben』より