ブチギレ氏原さんインタビュー#02/結成から現在まで同居する相方は「卑怯者」、芸人への道を反対した母親は「手の平返し」!?
2020年4月、突如コロナ禍のTikTokに現れるや、森羅万象にブチギレ続け、生配信で寄せられた視聴者からのコメントにも瞬時にブチギレると、またたく間に人気TikTokerに躍り出たブチギレ氏原さん。相方・サカモトさんとともにお笑いコンビ「ゴンゴール」として活動していたが、2022年7月、TikToker&YouTuberとしてかじを切り、「GGチャンネル」として生まれ変わると、同年9月21日配信のYouTube動画「【生配信】来たコメント全てにキレる生配信~ Special Guest 轟さん(宮迫博之)~」で、なんと100万円のスパチャが集まり、翌日に本人が「昨日の轟さんとのキレる生配信、スパチャ額世界一だった」とツイート、非公式ながらデイリーランキング世界1位という功績を残した。そんな氏原さんの”キレ芸”の原点を、学生時代まで遡る。
(全2回の2回目/1回目から続く)
ファーストコンタクトを無視した相方
ーー前編ではサカモトさんとのご関係についてうかがいましたが、ずっと一緒に住んでいるんですね。
氏原 はい。僕がかなり早い段階で一般の生活がほんとうになにもできないことがわかって、仕事がなんにもできないサカモトが家の掃除とか生活についてやってくれています。僕は仕事は全力でやってちゃんと稼ぐから、と。もうきっちりわけよう! という感じです。
ーーいい関係ですね。
氏原 それもケンカしてキレてる最中に「せめてなんかやれよ!」という流れで、ひとつずつそうなっていったんです。
ーーとはいえ、ピリピリしていた時期よりもサカモトさんへの愛があるのでは。
氏原 変わらないと思いますけどね(笑)。今日も普通にちょっと怒りましたし。
ーー出会いは高校時代に遡るとなると、長い付き合いですよね。
氏原 こいつは俺の幼馴染の幼馴染で、中3のときに幼馴染が「おまえの行ってる塾にサカモトが来るよ」と言うから、サカモトの連絡先を聞いてメールしたんです。「俺、◯◯の幼馴染の氏原っていうんだけど、よろしくー」って。こいつ無視したんですよ。
ーー(笑)
氏原 消化器ぶちまけたりして調子に乗ってましたし、「こいつ終わってるヤツだな」って印象です。
ーーあははは! むしろサカモトさんのほうが激ヤバな人物だったと。
氏原 激ヤバですよ。だって高校時代のあだ名「卑怯者」ですからね。
コンビに誘った理由は「顔がよかったから」
ーーなぜですか(笑)。
氏原 日常で些細な卑怯を繰り返していたからです。たとえば、工業高校の電機科だったんですが、文化祭でクラス一丸となってフィーリングカップルの電光掲示テーブルを作ったんです。イケてるグループも真面目グループも壁を取っ払ってほんとうに一丸となって。そんななかでこいつは、「漢検の勉強する」ってひとりだけノータッチ。そういうことの積み重ねで「卑怯者」と。
ーー漢検(笑)。サカモトさんはそう呼ばれていたことを知っていたんですか?
サカモト いや、覚えてないですね。「犬」とは呼ばれていたけど。
ーー犬!(笑)
氏原 そうそう、「鳥」って呼ばれてるヤツもいて、そいつとセットな感じだったんですよ。
ーーそんなサカモトさんとコンビを組もうと思ったのはなぜですか?
氏原 顔が整っていて、明るいヤツだから。それだけです。
ーー理由が明確ですね(笑)。
氏原 高校時代に一度誘って断られて、大学でお互いに上京したときに再会したら、こいつ、俳優のオーディション雑誌を持っていたんです。それで「俳優になるなら、芸人にしない?」と改めて誘って。
ーーそこで晴れてコンビの結成となったんですね。
氏原 それからフリーライブなどに出ながら、お笑い養成所に通わずに入れる事務所を探した結果、ケイダッシュステージに入れることになりました。
スタッフは強力な元芸人たち
ーーそれが2009年で。当時は、いま「GGチャンネル」としてTikTokなどで活動する未来が来るとは予測できないですよね。GGチャンネルのメンバーはサカモトさんのほかに、3名いらっしゃるんですよね。
氏原 はい、ひとりは同じ事務所だった同期で、彼も事務所を辞めるタイミングで「がっつりやってもらえないか」と誘って、編集スタッフも元芸人なんです。そしてもうひとりは、DMで「弟子にしてください」と送ってきた変わったヤツです。
やっぱり、いくら「自分がやりたいことをやりたい」とはいえ、ほんとうにひとりでやるには限界があるんです。組織にしないと続かないと思って、いまのメンバーと一緒にやっています。
ーースタッフを芸人仲間で固めているのには、理由がありますか?
氏原 ずっと、芸人をやっていた10年間はムダだと思っていたんですが、TikTokでバズったとき、「芸人は、ネットの中では明らかにレベルが違うな」と客観的に思ったんです。芸人時代はムダではなかったんだと。だから編集やディレクターも、元芸人だからこそ相当強いのではないかなと。
ーープロフェッショナルだからこそ、笑いのツボを抑えた動画を作ることができるのだと思いますが、そうではない方が作るのと、決定的な違いはどんなところでしょう。
氏原 笑いが起きる理由を言語化できるということだと思います。狙って作れる、ということですね。
少年時代、母親に3時間怒られ続け……
ーーそういった背景を前提にしつつ、やっぱり氏原さんの“キレ”の瞬発力やバリエーションがすさまじいと思います。いつもどこでインスピレーションを得ているんでしょうか。
氏原 たぶん、子どもの頃の経験が影響していると思います。僕の母親は長時間ずっと怒ってくる人で、それにいちいち反論していて、たぶんそれが原点なんじゃないのかなと思っているんですけど。
ーーお母さん、どんなときに怒るんですか?
氏原 僕には双子のきょうだいがいて、そいつが、先生が親に電話をかけてくるレベルにも満たない僕の悪さを母親に通報していて。リビングで正座させられて5時間も詰めてくるんですよ。
ーー5時間!?
氏原 いや、5時間は言いすぎました。実際は3時間くらいですね。
ーー十分長いです(笑)。
氏原 それでいちいち反論していると、母親は「こいつ、反省していないな」とジャッジして、折れるまでずーーっとネチネチ理詰めで来るんですよ。
ーー終着点はどこにあるんですか?
氏原 ほんとうにイヤな思い出すぎて覚えていないですけど、どうやって終わっていたんだろ……お互い疲れて終わるか、きょうだいが「もうやめなよ」と言うか、まあ僕がいちおう謝って終わっていた気がします。
ーーちゃんと謝って偉いですね……。
氏原 3時間キレられたら謝りますよそりゃあ。
母親とまともに喋るのは5年ぶり
氏原 だから30歳くらいまで母親のことを「ムカつくな、あいつ……!」ってなっちゃってて、会いたくなくて、きょうだいの結婚式も出なかったりして。それで、僕がやっとこういう状態になれたのと、きょうだいに子どもができて母親が顔を見に行くというので「子どもの顔を見る名目で母親にも会うか」ってことで、再会したんです。
ーー何年ぶりですか?
氏原 何年か前に友達から「母親に腹が立っていることを言ったほうがいいよ」とアドバイスされたタイミングが4,5年前にあって、そのときに言ったら……反論してきたんですよね、なんか。
ーー(笑)
氏原 「あんたはなにもわかってない! お母さんにも事情があった!」って。それで「こいつほんとナイな」って、より加速しちゃって。そのあとも芸人時代の単独ライブにも来ていましたが、会いはしたけど喋りはしなかったので、ちゃんと喋ったのは5年ぶりですね。
ーーお母さん、強そうですね(笑)。
氏原 母親は変わらなそうだなと思いましたね。この前も、何事もなかったかのように普通に話してきて。まあ、それが楽といえば楽でしたけどね。
ーーお母さんはいまのご活躍をご存知なんでしょうか。
氏原 LINEで定期的に「この前バズっていたね」と連絡が来ることはありますが、「手の平返しやがって!」が本音です(笑)。芸人になりたいと言ったときは引くほど反対してきたのに、成功したら「よく頑張ったわね」じゃねえよと。
亡くなる直前の、父の助言
ーーたしかに(笑)。反対されたんですね。
氏原 高校受験のときに、芸人になるために「大学に行く必要なんてないから」と工業高校を選んだんですけど、そしたら母親側の親戚総動員で全員に取り囲まれて猛反対されたんです。「絶対に成功するわけないんだからやめろ」と。人が聞いたら引いちゃうくらいの止め方でしたね。
ーー(笑)それを振り切って芸人になって、かっこいいです。
氏原 高校生の漫才大会でちょっといい成績を残したときに、1回目の手のひら返しがありましたね。そのあと、芸人になる前にアメリカに行きたかったんですが「芸人になるなら留学費用は一切出さない」と言われました。そのとき、亡くなる直前の父親に言われたんです。「お母さんは頑固な人だから、もう大学には行ってあげろ。その後好きなことやればいいから」と。
ーーお父さんはいろいろと汲んでいたんですね。
氏原 そうですね。そんなことがありましたが、いまとなっては「当時は芸人の情報も少なかったし、止めて当然かな」とは思いますが、悔しいからそんなことは母親には伝えません(笑)。
ーーお母さんも同じように考えてくれる日が来ることを、願っています……!
氏原 もっと大きくなっていろんな仕事をさせてもらえるようになるまで、母親には生きていてもらえたらなって感じです。
(撮影/佐賀章広)
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※動画はブチギレ氏原公式TikTok『@ujiharagongoal』より