ブチギレ氏原さんインタビュー#01/テレビからTikTokに振りきり「コンビニで値段を見ずに買い物ができるように」
2020年4月、突如コロナ禍のTikTokに現れるや、森羅万象にブチギレ続け、生配信で寄せられた視聴者からのコメントにも瞬時にブチギレると、またたく間に人気TikTokerに躍り出たブチギレ氏原さん。相方・サカモトさんとともにお笑いコンビ「ゴンゴール」として活動していたが、2022年7月、TikToker&YouTuberとしてかじを切り、「GGチャンネル」として生まれ変わると、同年9月21日配信のYouTube動画「【生配信】来たコメント全てにキレる生配信~ Special Guest 轟さん(宮迫博之)~」で、なんと946,482円のスパチャが集まり、デイリーランキング世界1位という功績を残した。月収3000円の芸人から独立を経て、TikTokドリームの渦中にいる氏原さんの話は、それぞれの転機に悩める老若男女に響くはず!?
(全2回の1回目/2回目に続く)
動画で勝負をするために、フリーに
ーーそれまで、オードリーやトム・ブラウンなどが所属する芸能事務所ケイダッシュステージに所属していましたが、2022年7月に退社され、現在はフリーで活動されているんですね。
ブチギレ氏原(以下、氏原) はい。テレビじゃなくネットで勝負したいので退所したいと相談したら、快く送り出してくれました。
ーーいつから独立を考えていたんでしょうか。
氏原 明確には覚えていませんが、僕らがTikTokをやり始めたのがコロナ禍の2020年4月で、当時はYouTuberの方たちの「これからは個人の時代だ」という考え方が広がり始めていて。そういう風潮を眺めながら徐々に考えていたと思います。
ーー先輩芸人からなにかアドバイスをもらったり?
氏原 いろんな人たちに意見を聞きました。たとえばある先輩は「テレビでやるなら事務所に残っていいと思うけど、完全にネットで勝負するなら、独立もアリなんじゃないか」とか。
漠然とした不安も「すぐに行動したかった」
ーー葛藤はありませんでしたか?
氏原 ちょっと怖かったですね。「困ったときに、もう事務所に相談できないのか」「ほんとうに大丈夫だろうか」という漠然とした不安はありましたが、今思えば、僕は自分で全て決めたい人だったので、独立は自分に合っていたかなと思います。やっぱり事務所にいると、迷惑がかからないよう念のため「これやっていいですか?」と事務所に確認をしてから動いていたので、機動力も上がったと思います。
ーーTikTokではキレちらかしていますが、インタビューの受け答えは常識的ですよね。
氏原 まあ(笑)、前がヤバかったので。前がヤバすぎて、急いで常識を身につけているところなんですよ。今のスタッフの1人が元々同期の芸人なんですけど、昔からいつも「おまえ、ヤバいぞ」と注意してくれていたんです。
ーー(笑)どんなときに教えてくれるんですか?
氏原 「氏原は、人の”意見”を“否定”と捉えるクセがあるから。あれは“意見”だからね」とか。
ーー大人ですね~!
氏原 あとは、人に自分の意見を押し付けすぎちゃったりが多くて。そういうときですね。
ピリピリしていた木造アパート時代
ーー動画では、相方のサカモトさんによくキレていらっしゃいます。マジギレなのかと思ってしまうこともあります(笑)。
氏原 いや~! この前も付き合いで30歳以上の女性が働く飲み屋さんに行ったんですけど、こいつ(取材場所で体育座りをして聞くサカモトさんを指差し)、「35歳のおばさんが~」みたいなことを言い出したんですよ! それでキレました。「ここにいる女性みんな30歳以上だし、おばさんはまずいでしょ?」って。(サカモトさんに向け)なにちょっとイヤな顔してんだよ! ネタになったからいいだろ。
ーー常識的なキレ方(笑)。
氏原 特にTikTokを始めた前後は完全にヤバいときで、こいつにキレることが多かったんですよ。
サカモト ピリピリしてましたね。ずっと一緒に住んでいるんですが、当時は家も木造だったし。
氏原 YouTubeでの生配信もやり始めて、それが収益化する前は月収3000円とかでしたから。
ーー月収3000円というのは、お笑いライブの出演などですか?
氏原 いや、ちょこっと出たネット番組のギャラとかです。
ーーいつ頃から収益化したんですか?
氏原 2020年8月くらいだと思います。収益化してスパチャ機能がついたときに生配信をしたら、スパチャがすごい入ってきたんです。
1時間23万円投げる視聴者も
ーーファンの方がたくさんいらっしゃることを実感されたんですね。
氏原 いや、そんなキレイな言葉じゃなくて……「おい! 金がめちゃくちゃ入ってくるぞ!」って(笑)、それが正直な気持ちでした。1時間の生配信で20~30万、70万円入ってくるときもありましたから。びっくりしましたね。
ーープロの芸人による「来たコメントにキレる」という発想は、氏原さんの発明だったと思います。それで右肩上がりに?
氏原 上がりはしないんですよ。1時間で読めるコメント数は決まっているので。生配信の数を増やせばいいんでしょうけど、体力的にきついですからね。
ーーたしかに、いつも全力でキレていますもんね。
氏原 ちゃんとムラはありますよ(笑)。もう3年もやっているとね。それを感じ取ったのか、それから来てくれなくなる人もちゃんといますからね。
ーー一方で、3年前からスパチャし続けている古参ファンの方もいらっしゃいますよね。センスのあるコメントで有名なファンの方もいますよね。「たかぎさん」という女性とか。
氏原 頭おかしいですよね(笑)。
スタッフ 上限がないTikTokでは、たかぎさんのギフト最高額は1時間23万円です。
ーー23万! なにをやっている方なんでしょう……。
氏原 「車屋さん」と言っていましたね。たかぎさんはほかにも推しがいるみたいで、お金がどうなっているのか不思議ですよ。
有名芸人とのコラボや、大規模キャパで有観客ライブも
ーー最近は、3月には都内最大級のキャパを誇る大型ライブハウスの豊洲PITで有観客ライブを実施したり、ほかのYouTuberとのコラボなども行っています。
氏原 昨年6月にやったカジサックさんとのコラボはよかったですね。お互いのいいところが出ていたと思うし、昔からテレビで観ていた人と一緒にやることで「がんばってここに来たんだな」と思いました。
ーー今後も目標はありますか?
氏原 登録者100万人と、有観客ライブを武道館でやりたいです。
ーー3000円から70万という振り幅を経験していますもんね、実現への期待感があります。ちなみに、3000円から70万円の世界に突然来ると、どんな変化が起こりますか?
氏原 なんだろう、なにが変わったかな?
サカモト ふたりともお金を持ったところで趣味も広がらないし、今までと同じ生活を送るんですが、ふたりでテンションが上ったのは、コンビニで値段を見ずに買い物が出来た瞬間ですね。
氏原 ああ、たしかにそれだね。
サカモト それまでは、『赤いきつね』で200円使ったらおにぎりなんて買えない……みたいな生活でしたから。好きなものを買えるようになったのはうれしかったです。
相方は「氏原がバスっているのが気に食わない」!?
ーーあとは、ピリピリしていた家の中がマイルドになって、氏原さんがサカモトさんに優しくなったり?
氏原 家は木造じゃなくなりましたが、優しくはなっていないですね。
ーー(笑)
氏原 こいつ、俺がバズっていることを「気に食わない」と言っていたから。
ーーえええ!(笑)
氏原 お金が入ってくるようになったのに、その考えってマズいよ。でも、ポジティブに解釈すると、自分もまだ演者としての気持ちがあるんだなと思うことにして、自分を納得させました。
ーーそれでずっとコンビを続けていらっしゃるんですね。いい関係ですね。
氏原 もう共依存になっちゃってるだけだと思いますよ。
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8月18日配信の後編では、サカモトさんとのコンビ結成秘話、そしてブチギレ氏原さんの“キレ芸”誕生のきっかけとなった過去について迫ります。
(撮影/佐賀章広)
@ujiharagongoal #ブチギレ #ポケットからきゅんです #YouTube来てよ ♬ オリジナル楽曲 – ブチギレ氏原
※動画はブチギレ氏原公式TikTok『@ujiharagongoal』より